NEWS

CATEGORY

BRAND

初めての断熱等級6(2025年版)|HEAT20 G2/G3との違い・費用対効果・チェックリスト

2025年10月27日

こんにちは、SOUSEIです!

2025年4月から、住宅の省エネルギー性能に関する新しい基準が適用され始めます。
特に注目されているのが、住宅の断熱性能を示す「断熱等級」の上位レベルである「断熱等級6」です。
これから新築を考えている方、断熱・省エネに興味のある方にとって、「断熱等級6」が持つ意味や、さらに民間基準である「HEAT20(ヒート20)」が示す G2/G3 グレードとの違い、そして実際に費用対効果をどう考えるかは、大きなテーマとなっています。

まず、「断熱等級6」とは何かを整理しましょう。
住宅の断熱性能を評価する指標として、国が定める「断熱等性能等級」があります。
断熱性能が高いほど等級が上がり、快適性、光熱費削減、省エネ性、将来価値に有利とされてきました。

2025年の法改正により、新築住宅の省エネ基準適合が義務化される中で、「これからの住まいづくりでは、従来の等級4・5のみならず、等級6を基準に検討すべき」という流れが強まっています。

「なぜ今、断熱等級6が注目されているのか」「断熱等級とは何か」「2025年の制度変更が住宅性能にどう影響するか」を解説いたします。









1. 断熱等級の歴史と進化(~等級7までの流れ)



そもそも「断熱等性能等級」は、住宅の断熱性能を分かりやすく等級化した制度です。
これまで等級1〜4などが中心でしたが、近年の省エネルギー化・カーボンニュートラルの流れを受けて、より上位の等級が導入されました。
例えば、従来は等級4が「最高レベル」とされてきた時期もありました。
しかし、2022年10月には断熱等級5〜7が新設され、等級6・7が登場しました。
等級4はもはや「最低限クリアすべき基準」に近づいている、という状況です。

制度変更の背景には、地球温暖化対策、建築物の省エネ化、住宅の長寿命化・資産価値向上があります。
法改正により、2025年4月からはすべての新築住宅(一般住宅含む)において、省エネルギー性能適合が義務化されます。

また、等級6・7の導入により、住宅性能表示制度が「快適・健康・省エネ」住まいの方向へ大きく舵を切ったと言えます。
住宅購入者側が「とにかく等級4でいい」ではなく、「何を目指すか」を意識する段階に入っているのです。
この歴史的な流れを理解することで、断熱等級6が現在位置づけとしてどういう意味を持つか、読み手にも明確になります。






2. HEAT20 G2・G3グレードとの関係と違い



次に、民間団体による高断熱基準である HEAT20(20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)が提唱する「G1・G2・G3」というグレードと、断熱等級6/7との関係を整理します。

HEAT20の基準は、住宅のUA値(外皮平均熱貫流率)や最低室温、暖房負荷削減などを指標にしています。
例えば、「G2」は暖房期において非暖房室温をおおむね13℃を下回らないことを目安にしており、等級6相当の断熱性能として紹介されています。

一方、「G3」はさらに厳しい基準で、非暖房室の最低室温を概ね15℃を下回らないことを目安とし、断熱等級7相当と言われています。
しかし、重要なポイントとして「HEAT20のG2=断熱等級6」「HEAT20のG3=等級7」と自動的に同じではない」という点があります。
各地域、住宅形態、施工仕様によって実際のUA値や性能は異なります。
例えば、等級6を取得していても、HEAT20のG2が提示する快適性(室温のばらつき、暖房負荷の低減)に届いていないケースもあります。

そのため、住宅を選ぶ際には「等級6を取っていれば安心」ではなく、「等級6をどのようにクリアしているか(UA値・窓・気密・換気など)」「G2/G3グレードを名乗る住宅は実測・データがあるか」を確認する必要があります。

実際に、HEAT20 G2では「暖房期の室温が概ね13℃を下回らない」、UA値としては地域によって「0.46 W/㎡K程度」などが目安とされています。
一方、断熱等級6の具体的数値として、「5〜7地域でUA値0.46 W/㎡K以下」などの記述があります。

このように「仕様数値としてはほぼ同じ目安」という側面もありますが、施工・気密・換気・日射遮蔽など細かい実装が異なるため、実際の快適性・省エネ性に差が出るのです。






3. 断熱等級6に必要なUA値と性能基準【地域別解説】



実際に「断熱等級6」を取得するために必要な設計・性能基準について、住宅が位置する地域ごと(地域区分1〜8)に必要なUA値や注意点を整理します。

まず、「地域区分」とは日本における暖冷房負荷の差を考慮し、気候によって1地域〜8地域に分けられています。
これにより、北日本の寒冷地と南日本の温暖地では求められる断熱性能が異なります。
断熱等級6の数値として、例えば「5〜7地域ではUA値0.46 W/㎡K以下」とされている例があります。
また、HEAT20 G2の目安として「地域6・7の場合 UA値0.46 W/㎡K 程度」が示されている情報もあります。

具体的な地域別目安の例を示します(これはあくまで目安であり、施工条件・窓仕様・気密性能などによって変わります)
1・2地域(最寒冷地に近い) → UA値 0.28W/㎡K 程度が目安とされることがあります。
3〜4地域(比較的寒冷) → UA値 0.34W/㎡K〜0.46W/㎡K 程度。
5〜7地域(関東・中部・近畿・中国・四国・九州など) → UA値 0.46W/㎡K以下が等級6の目安。

日本の中部〜近畿圏(例えば奈良県など)は「5〜6地域」に該当することが多く、よって等級6を目指す際には UA値0.46W/㎡K をひとつの目安に設計を検討すると良いでしょう。

また、断熱性能だけでなく、気密性能(C値=家全体の隙間相当面積)や窓(サッシ・ガラス性能)、換気・日射制御なども断熱等級を満たすために重要です。
さらに、地域によっては「冷房期の平均日射熱取得率 ηAC(イータAC)」「エアコン負荷」などの数値も考慮される設計ガイドラインが存在します。
例えば、ある住宅で「断熱等級6/UA値0.44/ηAC値1.2」という実績が報告されています。






4. 等級6住宅のメリット:快適性・光熱費・健康面



「断熱等級6」を満たす住宅を建てることで得られるメリットは多岐にわたります。
ここでは主に、快適性、光熱費削減、健康面という三大メリットを掘り下げます。




4-1. 快適性


断熱性能が高まると、冬の室内が底冷えせず、夏は外部の暑さ・冷房の負荷を抑えながら過ごせるようになります。

HEAT20の指標によれば、G2(等級6相当)の住宅では冬期間の非暖房室でも「概ね13℃を下回らない」最低室温を目安としています。
これは「暖房していない部屋でも10℃そこそこ」という従来基準とは大きく異なり、居室以外の部屋や脱衣所・浴室付近の寒さを大幅に軽減することが期待できます。
さらに、温度差による“ヒートショック”リスクも下げられます。

ある試算では、等級4基準と等級6(G2)基準では、建築費+光熱費を合算して考えると「35年間で生涯居住費が―122万円」となるケースが紹介されています。
このように、断熱性能向上=快適性向上=健康リスク低減という流れがあります。




4-2. 光熱費削減・省エネ効果


断熱性能を上げれば、冷暖房にかかるエネルギーが少なくて済みます。
住宅の外皮からの熱損失・断熱失敗を防ぐことで、冷暖房機器の稼働時間・出力を抑え、長期的な光熱費削減につながります。

HEAT20 G2 等級6相当の性能では、従来基準比で暖房エネルギー消費量が約55%削減できるという紹介もあります。

また、断熱等級6相当の数値(例:UA値0.44W/㎡K)を実現した住宅では、従来の等級3住宅に比べ、年間光熱費に大きな差が出たという試算も報告されています。
光熱費削減は直接的な家計メリットであり、将来の電気・ガス料金上昇リスクにも備えられます。




4-3. 健康面・資産価値


住宅内の温度ムラ・寒暖差が小さいことで、住まい手の健康リスク(冷え・結露・カビ・アレルギー)を低減できます。
特に冬、暖房していない部屋が極端に低温になると、ヒートショックの原因になりかねません。断熱性能改善はこのリスク軽減に寄与します。

さらに、住まいの資産価値という観点でも「高断熱仕様=将来にも通用する価値ある住宅」「売却時にも付加価値になる」という見方が増えています。
つまり、断熱等級6を選ぶことで「今住んで良い」「将来売っても有利」という2面性があります。






5. 費用対効果の実際:どこまで投資すべき?



断熱等級6仕様を目指す際に、どうしても気になるのが“コスト(初期投資)”と“収益・削減効果(長期メリット)”のバランスです。
この章では、その点を掘り下げます。




5-1. 初期コストの増加


断熱性能を上げるためには、壁・屋根・床の断熱材を厚くしたり、窓(サッシ・ガラス)を高性能タイプにしたり、気密施工(C値を低くする)や換気システムをきちんと設計する必要があります。
これらは一般の標準仕様よりもコストが上がる要因となります。

例えば、ある試算では、等級4相当から等級6(G2相当)仕様にすると建築費が約400万円増加したという報告があります。
この増加分をどう考えるかがポイントです。




5-2. 長期的な光熱費削減・回収期間


この増加コストを、将来の光熱費削減や健康・快適性・資産価値という観点から回収可能かどうかが判断基準になります。
上記の試算で「35年で-122万円」という例があるように、長期視点で見ると“初期コスト増>長期削減”となる可能性があります。

また、断熱等級6仕様の実績では、例えばUA値0.44W/㎡Kとすることで、年間暖房・冷房負荷が従来比で大きく低減したという具体データも出ています。
このように、費用対効果を見極めるうえでは「何年で元を取れるか(回収期間)」「光熱費以外のメリット(健康・快適・資産価値)も含めるか」が重要です。




5-3. 補助金・減税制度の活用


国・自治体の支援制度(補助金・減税)が断熱等級6仕様を後押ししています。
例えば、国交省による「住宅省エネ2025キャンペーン」で、GX志向型住宅(断熱等性能等級6以上等)を対象とした助成制度があります。
これにより、実質的なコスト負担を軽減できる可能性があるため、設計時点で制度を確認しておくことが重要です。




5-4. 投資をどう考えるか


・標準仕様から断熱性能を上げたコストは「将来メリットをどれだけ見込めるか」で妥当かを判断する。

・光熱費削減だけでなく、「快適性」「健康リスク低減」「建物寿命延長」「資産価値維持・向上」も含まれる。

・補助金・減税制度をしっかり活用し、“実質コスト”を下げる。

・設計・施工品質(断熱材の施工、気密施工、窓仕様、換気計画など)によって効果が大きく変わるため、安易に「等級6だから安心」とせず、仕様内容を確認する。






6. チェックリスト:等級6住宅を建てる前に確認したいポイント



住宅を建てる・リフォームする際に「断熱等級6」を目指すなら、以下のようなチェックリストを設けると安心です。
これを元に、設計会社・施工会社との打ち合わせや見積もり・仕様書確認を進めましょう。




6-1. チェック項目


1. 等級表示・認定書類の確認
・「断熱等性能等級6」を取得予定かどうか。
・仕様書にUA値・ηAC値(冷房期日射取得率)などの数値が記載されているか。
・気密性能(C値)について実測・報告するかどうか。

2. 断熱材・外皮性能の仕様確認
・壁・屋根・床の断熱材仕様(材質・厚み・熱抵抗R値)が適正か。
・窓仕様:サッシ素材・ガラス種(Low-E複層ガラスなど)・気密性が高いか。
・外皮全体の熱損失を抑える設計(窓の配置・庇・日射遮蔽・風向きなど)か。

3. 気密・換気・冷暖房負荷設計
・気密性を表すC値(家全体の隙間相当面積)がどれくらいか。高断熱とセットで気密が低くないと効果が半減する。
・換気方式(第一種・第三種)や熱交換換気など、断熱性能を生かす設計がなされているか。
・冷暖房機器・設備の設計が断熱性能を前提に適切か(オーバースペックやランニングコスト過大になっていないか)。

4. 施工実績・品質管理
・施工会社が高断熱住宅の実績を持っているか。
・断熱材の施工時のチェック(施工隙間・重ね代など)・気密測定・完了後の室温測定予定があるか。
・メンテナンス・将来リフォームを考えた設計になっているか。

5. コスト・補助金・ライフサイクルコスト
・初期費用が標準仕様比でどれくらい増えるかを見積もらせているか。
・補助金・自治体助成・税制優遇が活用できるかを確認しているか。
・将来の光熱費削減試算が示されているか(何年で元を取れるかなど)。

6. 将来価値・住まい環境
・断熱等級6という仕様が将来の住宅性能基準(2030年の等級5最低化など)に対応できるか。
・周辺環境(気候・日射条件・風通し)を考慮した設計になっているか。
・自分のライフスタイル(在宅時間・暑さ・寒さの感じ方・健康・家族構成)を反映しているか。




6-2. アドバイス


このチェックリストを使って、設計契約前・着工前・仕様確認時のタイミングで活用してください。
特に断熱性能・気密性能・施工管理は“見えにくい”部分なので、契約書・仕様書・現場確認などを通じてしっかり確認することが重要です。

また、「断熱等級6だから大丈夫」と安易に思わず、「どのような仕様・施工で等級を達成しているか」を必ず確認しましょう。
住宅会社から提示される「等級」だけでは仕様の細部が見えないと、期待する快適性・省エネ性が出ない可能性があります。






7. 2025年以降の展望:等級7や次世代住宅へのステップ



断熱等級6を検討することは、今後の住宅トレンドを先取りする意味もありますが、さらにその先には「断熱等級7」「HEAT20 G3」など、より高性能な住宅基準があります。
断熱等級7は、断熱等級6と同時に2022年10月に新設され、HEAT20のG3相当の性能を目指すものです。
例えば、UA値0.20〜0.26W/㎡Kという非常に低い数値が目安になっています。

2030年には住宅の省エネルギー・温室効果ガス削減の観点から、さらなる性能強化が予定されており、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅がより主流になるでしょう。

また、住宅設備・再生可能エネルギー(太陽光・蓄電池など)・全館空調・スマート家居との統合など、「断熱+機器」でトータル性能を高める方向も進んでいます。
「等級6」を選ぶことで、将来のステップアップ(例えば断熱等級7、HEAT20 G3、再エネ併用住宅)へつながる準備が整うとも言えます。






8. まとめ:断熱等級6で後悔しない家づくりを



要点を整理します。

・「断熱等級6」とは、2022年10月に新設された上位断熱性能基準の一つであり、2025年4月以降義務化される省エネ住宅基準(等級4)を大きく上回る性能を備えるものです。

・民間基準の HEAT20 G2/G3 と密接な関係があり、等級6はおおむね HEAT20 G2 水準を指すケースが多いですが、仕様・地域・施工によって実際の性能は異なるため、仕様内容を確認することが重要です。

・等級6仕様の住宅は、快適性(冬暖かく・夏涼しい)、光熱費削減、省エネ、健康・資産価値という点で大きなメリットがあります。

・初期コストは増えるものの、長期的に見れば光熱費削減+健康リスク低減+資産価値維持などを含めると費用対効果が高いとされています。
補助金・減税制度も活用すべきです。

・住宅を建てる・リフォームする際には、等級表示だけでなく「UA値・窓・気密・換気・施工実績」の仕様をチェックするべきです。

・さらに将来を見据えれば、断熱等級7やHEAT20 G3、更にZEH・LCCM住宅という流れもあるため、今「等級6でいいか」という選択は、将来の住まいや価値も踏まえた選択となります。

最後に、これから家づくりをされる方へ。
住宅は一度建てたら長く住むもの、快適性・健康・エネルギーコスト・資産価値を考えると「断熱等級6」という選択肢は、決して過剰仕様ではなく、むしろ未来を見据えた賢い選択です。
等級6を目標に、仕様内容・施工会社・資金計画・補助金活用をしっかり準備し、「後悔しない住まいづくり」を進めてください。