こんにちは、SOUSEIです!
今回は、HEAT20とはなにか。
2025年省エネ義務化と高断熱住宅の最新基準を徹底解説いたします!
目次
1. HEAT20とは何か?背景と目的
1-1. HEAT20の成り立ちと目的1-2. HEAT20が示すもの
2. 最新の省エネ基準義務化(2025年4月以降)との関係
2-1. 何が変わるのか?2-2. HEAT20との違いは?
2-3. なぜHEAT20を検討すべきか?
3. HEAT20のグレード(G1・G2・G3)の詳細
3-1. G1グレード:基本的な断熱快適性の確保3-2. G2グレード:高断熱による快適性と省エネの両立
3-3. G3グレード:最先端の断熱性能
3-4. 地域区分ごとの基準UA値(参考)
4. HEAT20が提供するメリット
4-1. 冬も夏も快適な室内環境4-2. 光熱費の大幅な削減
4-3. 結露・カビの防止
4-4. ヒートショックなど健康リスクの低減
4-5. 長期的な資産価値と将来基準への備え
5. HEAT20と国の断熱等級(断熱等級4以上義務化)との関係
5-1. 断熱等級とは?5-2. GHEAT20と断熱等級の違い
5-3. 今後の動向とHEAT20の価値
6. まとめ
1. HEAT20とは何か?背景と目的
近年、住宅の断熱性能に注目が集まる中、「HEAT20」という言葉を耳にする機会が増えています。
HEAT20とは、
1-1. HEAT20の成り立ちと目的
HEAT20は、大学教授や建築技術者などの専門家たちが集まり、「これからの日本にふさわしい住宅の快適性と省エネ性能を両立する基準」を研究・提案する団体として2009年に発足しました。
その名の通り、「20年先を見据えた住宅性能の向上」を目指しています。
背景には、日本の住宅が長年、省エネや快適性の面で欧米に比べて遅れを取ってきたという課題があります。
たとえば、日本では冬に室内でも10℃を下回ることが珍しくありませんが、北欧諸国では20℃前後が一般的です。
HEAT20は、このような現状を打破し、誰もが健康で快適に暮らせる住宅環境を実現するための「新たな断熱性能の目標水準」を設定しています。
1-2. HEAT20が示すもの
HEAT20が示すのは、断熱性能を定量的に評価する「UA値(外皮平均熱貫流率)」に基づいた3段階の基準(G1、G2、G3)です。
これらは地域ごとの気候特性に応じて設定されており、国の省エネ基準よりもはるかに高い水準を求めています。
たとえば、G1は「最低限の快適性確保」、G2は「冬でも室内温度が13〜15℃を下回らない」、G3は「より高い快適性と省エネ性の両立」といったように、段階的に性能と快適性を高めていく設計です。
HEAT20の最大の目的は、
2. 最新の省エネ基準義務化(2025年4月以降)との関係
住宅の断熱性能を語る上で避けて通れないのが、2025年4月からの「省エネ基準義務化」です。
これは、国が定める建築基準法の改正によって、新築住宅に一定以上の断熱性能(断熱等級4以上)を法律で義務づけるものです。
2-1. 何が変わるのか?
これまで、日本では新築住宅の省エネ性能について明確な義務基準はありませんでした。
あくまで「努力目標」とされていたため、建築会社や施主の判断で断熱性能が大きく異なるのが実情でした。
しかし2025年4月からは、すべての新築住宅に対して、
つまり、「最低限の断熱性能を確保しなければ建築許可が下りない」という時代が到来します。
この変更により、今後建てられる住宅の断熱性能の底上げが図られることになり、冬の寒さ対策や冷暖房の省エネ効果が期待されます。
2-2. HEAT20との違いは?
国の基準(断熱等級4)はあくまで「最低限の断熱性能」です。
一方、HEAT20はその数段階上の快適性・省エネ性を目指した民間基準です。
たとえば、HEAT20のG2グレードは、おおよそ国の「断熱等級6(UA値0.46程度)」に相当し、G3グレードは「断熱等級7(UA値0.26程度)」とほぼ同等です。
つまり、HEAT20は将来的に義務化される可能性のある基準を、いち早く先取りした住宅性能と言えるのです。
2-3. なぜHEAT20を検討すべきか?
省エネ基準の義務化によって、最低限の性能は確保されるようになりますが、それだけでは本当の快適性や健康への配慮は十分ではありません。
ヒートショックのリスクを下げたり、光熱費を抑えたりするためには、より高い断熱性能が必要です。
その点、HEAT20は、2025年以降の住宅にとって「快適性・健康性・経済性」を備えた新しい選択肢となるのです。
3. HEAT20のグレード(G1・G2・G3)の詳細
HEAT20は、住宅の断熱性能を3つのグレード(G1・G2・G3)で分類しています。
これらのグレードは、外皮平均熱貫流率(UA値)に基づいており、数値が低いほど断熱性能が高いことを示します。
UA値とは「外皮平均熱貫流率」の略で、住宅の外壁、屋根、床、窓などからどれだけ熱が逃げるかを表す指標です。
単位はW/㎡・K(ワット毎平方メートル・ケルビン)で、値が小さいほど高性能です。
3-1. G1グレード:基本的な断熱快適性の確保
G1は、
UA値は地域によって異なりますが、たとえば6地域(関東南部など)ではUA値0.56以下が目安です。
このグレードに対応する住宅では、冬でもある程度暖房が効きやすく、室温が10℃以下になることを避けやすくなります。
ただし、快適性や省エネ性の面ではまだ発展途上とされます。
3-2. G2グレード:高断熱による快適性と省エネの両立
G2はHEAT20の中心的なグレードで、
6地域でのUA値目標は0.46以下とされ、これは国の断熱等級6にも相当します。
G2住宅では、暖房を使用していない部屋でも冬場の最低室温が13〜15℃を下回りにくくなるため、ヒートショックのリスクが大きく減少します。
また、冷暖房効率が高く、光熱費の削減にも直結します。
3-3. G3グレード:最先端の断熱性能
G3は
これは現在の断熱等級の中でも最上位である断熱等級7と同レベルであり、冬の最低室温が18℃前後を維持できるほどの性能を持ちます。
G3に対応する住宅は、少ない冷暖房エネルギーで安定した室温を維持できるため、光熱費の面でも非常に優れています。
また、将来的に省エネ基準がさらに引き上げられる可能性を見据えても、十分な性能を持つ「先進的な住宅」と言えるでしょう。
3-4. 地域区分ごとの基準UA値(参考)

※上記は一例で、地域ごとの気候条件により細かく定められています。
4. HEAT20が提供するメリット
HEAT20基準に対応した住宅には、多くの実用的なメリットがあります。
単なる「省エネ住宅」を超えて、暮らしの快適さや健康、経済性にも直結する点がHEAT20の大きな特長です。
4-1. 冬も夏も快適な室内環境
断熱性能が高まることで、外気の影響を受けにくくなり、冬は暖かく、夏は涼しい室内環境が保たれます。
とくにG2・G3グレードでは、冬の無暖房時でも最低室温が13〜18℃程度を維持できるため、薄着で過ごせるほど快適です。
この「温度ストレスの少ない空間」は、子どもから高齢者まで、すべての世代にとって安心・安全な住環境を実現します。
4-2. 光熱費の大幅な削減
冷暖房の使用頻度が減ることで、年間の光熱費が大きく削減されます。
たとえば、G2グレードであれば、従来の断熱等級4の住宅と比べて年間数万円以上の節約になることも珍しくありません。
長期間住み続けることを前提とすれば、建築時に少しコストをかけてでも断熱性能を上げることが、将来的な家計への投資となります。
4-3. 結露・カビの防止
高断熱化により、室内の壁や窓の表面温度が高く保たれるため、結露が発生しにくくなります。
これにより、カビやダニの繁殖を抑え、アレルギーや喘息のリスク低減にもつながります。
とくに木造住宅では、結露が構造材を腐食させる原因にもなるため、耐久性の面でもHEAT20は有効です。
4-4. ヒートショックなど健康リスクの低減
冬場のトイレや浴室での急激な温度差が原因で起こるヒートショックは、高齢者にとって命に関わる問題です。
G2以上の断熱性能があれば、住宅内の温度差が少なくなり、ヒートショックのリスクを大幅に下げることができます。
国土交通省や厚労省も、高断熱化による健康維持効果に注目しており、今後の住宅政策でも注目が高まっています。
4-5. 長期的な資産価値と将来基準への備え
HEAT20対応住宅は、今後の省エネ基準強化に「先行して対応」している住宅と言えます。
今後、G2相当以上の断熱性能が義務化される可能性が高まる中、HEAT20基準の住宅は資産価値の維持・向上に寄与します。
また、断熱性能が高い住宅は、リセールバリュー(再販価値)でも有利になるケースが増えています。
5. HEAT20と国の断熱等級(断熱等級4以上義務化)との関係
HEAT20は民間主導で策定された高性能住宅の指標ですが、これとは別に国(国土交通省)が定める「断熱等性能等級(断熱等級)」という制度も存在します。
2025年4月からは、この断熱等級4以上が新築住宅に義務付けられることになっており、両者の関係を理解することが大切です。
5-1. 断熱等級とは?
断熱等級は、建物の断熱性能を評価する国の基準です。
2022年の法改正以降、等級は1〜7まで設定され、数値が大きいほど性能が高いことを示しています。

このようにHEAT20のG2とG3は、断熱等級6および7とほぼ同等の水準となっています。
5-2. GHEAT20と断熱等級の違い
1. 設計思想の違い
国の断熱等級は「最低限クリアすべき性能」を示す一方、HEAT20は「より快適で、健康的な暮らしを実現するための推奨水準」です。
つまり、HEAT20は数値だけでなく、実際の室温や体感温度を重視しています。
2. 基準設定の柔軟性
断熱等級は全国一律の区分ですが、HEAT20は地域区分ごとに細かな目標UA値を設定し、地域の気候に合わせた家づくりを促進します。
3. 評価基準の内容
国の等級は主にUA値だけで評価されますが、HEAT20では平均室温やエネルギー消費量の低減効果など、「実生活での快適性」を重視して設計されています。
5-3. 今後の動向とHEAT20の価値
国は2030年に向けて、断熱等級5以上の適合を段階的に義務化する方針も視野に入れています。
そのため、今のうちにG2やG3レベルで住宅を建てておくことは、「将来的な制度変更にも対応できる家づくり」となり、安心感があります。
HEAT20は、単に国の基準を満たすだけでは得られない快適性・健康性・経済性を先取りした設計指針として、今後ますます注目されるでしょう。
6. まとめ
これまで見てきた通り、HEAT20は単なる「高断熱住宅の基準」ではなく、快適性・健康・経済性・将来性すべてに配慮した住まいづくりの指針です。
2025年以降は省エネ基準の義務化によって、すべての新築住宅で最低限の断熱性能が求められるようになりますが、それだけでは本当の「暮らしやすさ」は得られません。
HEAT20を意識した家づくりを行うことで、以下のような価値を手にすることができます。
● 快適な生活空間の実現
真冬の寒さや真夏の暑さを感じにくい住宅は、日常生活の質を大きく向上させます。
とくに高齢者や乳幼児のいる家庭では、健康リスクの軽減につながり、安心して暮らせる空間が実現します。
● 長期的な光熱費の節約
初期投資としての断熱強化は必要ですが、それにより冷暖房コストが大幅に削減されるため、長期的にはコストメリットが大きいのがHEAT20対応住宅の特長です。
● 高い資産価値と将来対応力
今後さらに強化される可能性のある省エネ基準に対して、すでに「一歩先を行く性能」を備えた住宅は、長期間にわたり高い資産価値を維持できます。
将来的な売却や貸出を検討する際にも、大きな強みとなるでしょう。
● 家族の健康を守る環境
結露の発生を抑え、カビやダニを減らし、温度差によるヒートショックを防ぐ住宅環境は、家族全員の健康維持に貢献します。
見えない部分だからこそ、建てる段階でしっかりと対策しておくことが重要です。
これから家を建てる方、リノベーションを考えている方にとって、HEAT20は非常に参考になる指針です。
まずは自分の住む地域に適したグレード(G1・G2・G3)を知り、予算やライフスタイルに合わせた性能目標を設けることが、後悔のない家づくりへの第一歩となります。
高性能な住宅は、「見えない安心」として将来にわたり大きな価値をもたらします。
あなたの住まいが、家族にとってずっと快適な場所であるように――HEAT20の考え方を、ぜひ取り入れてみてください。