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2階建てなのに建てられない!? 高さ制限に引っかかる意外な落とし穴とは

2025年6月21日

こんにちは、SOUSEIです!

2階建てなのに建てられないってどういうこと?
高さ制限に引っかかる意外な落とし穴とはを徹底解説いたします!









1. 2階建て住宅の一般的な高さと概要



住宅を建てる際、外観デザインや間取りだけでなく「高さ」も重要な設計要素のひとつです。
特に都市部や住宅密集地では、建物の高さが法的な制限にかかることがあるため、事前に把握しておくことが必要です。




1-1. 一般的な2階建て住宅の高さは?


木造住宅をはじめとした一般的な2階建ての住宅は、地面から軒先までの高さが約6〜7メートル、屋根の頂点部分(最高高さ)で7〜9メートルほどが標準的です。
住宅の構造別の平均的な高さは以下の通りです:



特に屋根に急勾配をつけたり、吹き抜けや高天井を採用したりする場合は、最高高さが10メートルを超えるケースもあります。
これは設計上の工夫によるメリットもある一方で、地域によっては高さ制限にかかるリスクも伴います。




1-2. なぜ高さに注意が必要なのか?


都市計画法に基づいて設定される「用途地域」や「高度地区」では、建物の高さに関する厳しい規制が存在します。
たとえば、住宅地としての環境を保つ目的で「絶対高さ制限(10mまたは12m)」が定められている地域もあります。
さらに、住宅密集地では隣家の日当たりを確保するため、「北側斜線制限」や「日影規制」なども加わり、建物の形状や配置に大きな影響を及ぼします。

このように、2階建て住宅といえどもその高さによっては法的な制限の対象になる可能性があります。






2. 高さ制限の種類とポイント



建物の高さを制限する法律や規制は、「周囲の環境を守る」「日当たりを確保する」「景観を保つ」といった目的のもとに設けられています。
ここでは、住宅に関わる代表的な高さ制限をわかりやすく解説します。




2-1. 絶対高さ制限


「絶対高さ制限」は、主に第1種・第2種低層住居専用地域、および田園住居地域に適用されます。
この制限では、建物の高さが10メートルまたは12メートル以下に抑えられるよう定められています。(地域ごとに都市計画で決定)

緩和されるケース
周囲が公園・広場・河川などの開放空間である場合
公共施設など、特定の公益性がある建築物
屋上に設けた階段室・塔屋などが建築基準法の条件を満たす場合




2-2. 道路斜線制限


敷地が接している道路の反対側境界線から建物に対して、一定の傾斜内に収めなければならない制限です。

傾斜の基準
・1.25倍傾斜(住宅系地域など)
・1.5倍傾斜(商業系地域など)

建物が道路に近すぎて高さがある場合、上階をセットバックさせる設計が必要になります。




2-3. 隣地斜線制限


隣地との境界線から建物の高さを制限するもので、敷地の高さ20mの位置から1.25倍傾斜の範囲に建物を収める必要があります。

注意点
・低層住居専用地域では、この制限は適用されない
・高層建物が立ち並ぶ地域では重要な制限となる




2-4. 北側斜線制限


日本の住宅で特に重要とされるのが、この「北側斜線制限」です。
北側隣地への日照確保を目的とし、建物の北側に対して一定の高さから斜めに引かれる制限です。

基準(用途地域により異なる)
・高さ5mまたは10mの地点から1.25倍傾斜
・制限は敷地の北側境界線を基準に測る

北側に高い建物があると、隣地の日当たりが極端に悪くなるため、この規制が設けられています。




2-5. 日影規制(追加情報)


日影(ひかげ)規制は、冬至の日に建物が周囲に落とす影の大きさや時間に制限を設けるものです。
中高層の建物が多い都市部だけでなく、低層住宅地でも適用されることがあります。

規制内容
・冬至の日の午前8時〜午後4時の間で計測
・隣地や公共空間に対し、影が2時間または3時間以上連続してかからないように規制
・建物の高さ、配置、向きが規制に影響

日影規制は、建物の設計に大きく関わるため、設計初期段階からの考慮が必要です。

これらの規制を適切に理解し、設計に反映させることで、後々のトラブルを避けることができます。






3. 2階建てでも制限対象になるケース



一見、2階建て住宅であれば高さ制限に引っかかる心配は少ないように思われがちですが、実際には設計や地域の特性次第で規制の対象となることがあります。
この章では、2階建て住宅でも注意が必要なケースを具体的にご紹介します。




3-1. 基本的には3階建て以上が要注意


建築基準法上、規制に引っかかる可能性が高いのは、一般的に高さが10mを超える3階建てや中高層建物です。
2階建ての場合は、平均的な高さが8〜9m程度であるため、多くのエリアで絶対高さ制限(10mまたは12m)には収まる設計になっています。

例外となるケース:
・屋根が急勾配で設計されている
・ロフトや小屋裏収納が「3階相当」と見なされる
・傾斜地に建てられ、道路面からの高さが増す

これらのケースでは、2階建てでも想定以上に建物の高さが出てしまい、規制に抵触する可能性があるため注意が必要です。




3-2. 吹き抜けや高天井を採用する場合


近年の住宅では、開放感を重視して吹き抜けや高天井を取り入れるケースが増えています。
しかし、それに伴って軒高や最高高さが上がるため、特に「絶対高さ制限」や「北側斜線制限」に引っかかる可能性が高くなります。

注意ポイント:
・天井高2.7m以上の設計では、通常よりも全体の建物高さが増す
・吹き抜けの天井を屋根勾配に合わせると、最高高さが大きく上昇
・ロフトや中2階を設けると、建築基準法上の「階数」扱いになる可能性も

設計段階で建築士や設計担当としっかり協議し、制限を踏まえたプランニングが求められます。




3-3. 高度地区に指定されている地域


都市計画法で定められる「高度地区」に該当している場合、一般的な斜線制限に加えて、さらに厳しい高さ制限が適用されます。

例:第1種高度地区の場合
・北側斜線制限+道路斜線制限が同時適用
・高さ10mまでで急激なセットバックを求められるケースも

このような地域では、建築物が地域の景観や日照環境に強く影響するため、通常の2階建てでも慎重な計画が必要です。

これらのように、「2階建てだから大丈夫」と安心していると、思わぬ制限により設計を変更しなければならない場合もあります。






4. まとめ・ポイント整理



ここまでご紹介したように、2階建て住宅でも高さ制限や建築規制の影響を受けることは少なくありません。
快適な住まいづくりのためには、建物のデザインや間取りだけでなく、「どのような制限がある土地なのか」を正しく把握することが重要です。



2階建てでも注意すべきケース

・屋根勾配が急で、最高高さが10mを超える
・吹き抜けや高天井で建物全体が高くなる
・ロフトや中2階が実質的に3階と見なされる
・傾斜地で地盤からの高さが増す
・高度地区や北側斜線が厳しいエリア


建てる前に確認すべきこと
用途地域・高度地区の確認
→ 地元自治体の都市計画課で確認可能

近隣建物の状況や土地形状の確認
→ 周囲に高い建物があるか、傾斜地かをチェック

建築士や設計士との相談
→ 各種規制に基づいたプラン提案が可能

信頼できる住宅会社への相談
→ 土地探しから設計までサポートを受けるのが理想






5. 最後に:後悔しない家づくりのために



「たかが2階建て」と考えず、設計の自由度や将来の暮らしやすさを実現するためにも、早い段階から制限を把握しておくことが重要です。
専門的な判断が求められる部分も多いため、土地探し・設計の段階で住宅会社としっかり連携を取りましょう。

SOUSEIでは、建築の知識に加えて土地の法規制や環境に精通しているため、安心して家づくりができるようお手伝いをさせていただきます!